「今夜も眠れなかったら…」
そう思うだけで、余計に目が冴えていく

睡眠薬、サプリ、ヒーリング音楽、睡眠アプリ…インターネットに溢れる情報をもとに、色々試したけどやっぱり眠れない。
そんな経験ありませんか?それには、理由があります。
質の良い睡眠には、さまざまな要素が複雑に絡まっているため、そのうちの1つ2つだけ変えても、なかなかうまくいかないのです。

ここでは、それらの要素をひとつひとつ整理し、質の良い睡眠を取り戻すための具体的な方法をお伝えします。
また、すでによくご存知の項目がある場合は、目次から関心のある項目へお進みいただくこともできます。

数年に渡る重度の不眠と、そこから学んだこと

暖かい照明のランプが灯る、寝具の整ったベッドルーム

もともと私は、どこでもすぐに眠れるたちでした。布団に入れば数分で眠りに落ちるのが当たり前だったのです。それが変わったのは、重度の全身の炎症に襲われたときでした。症状は夜になると悪化し、眠れない日々が続きました。常に意識があるような浅い眠りと、症状による覚醒を繰り返す夜が何年も続いたのです。

数年後、症状はかなり改善しました。しかし、不眠だけは一向に改善しませんでした。脳が「眠れない状態」に慣れてしまい、本来の健全な眠りのパターンに戻れなくなっていたのです。

ヒプノセラピーとマインド・ボディ心理学を学ぶ過程で、顕在意識と潜在意識、そして脳の仕組みが睡眠と深く関わっていることを知りました。同時に、栄養素や食事のタイミング、体内時計、照明といった睡眠環境を見直したことで、ようやく熟睡できるようになったのです。

私自身の歩みについては、プロフィールでもう少し詳しくご紹介しています。

積み重ねられた禅の石。バランスと内面の落ち着きを象徴するイメージ

「眠れない」の種類

海辺に立ち、両手を広げて朝日の暖かい光を浴びる女性。恐怖を乗り越え、自由と自信を象徴しています

一口に「眠れない」と言っても、実際の状態は人によって異なります。

  • 布団に入ってもなかなか寝つけない(入眠困難)
  • 一度眠りについても、夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)
  • 起きたい時間よりずっと早くに目が覚め、そのまま眠れなくなる(早朝覚醒)
  • 睡眠時間は足りているはずなのに、眠った気がせず、疲れが取れない(熟眠障害)
  • 痛みやかゆみ、身体の症状によって眠れない

これらは別々の悩みに見えて、実は同時に起こることも少なくありません。実際、私の場合は、上記全てに該当していました。

また、身体の症状が原因の場合、その症状が落ち着かない限り、改善は難しいかもしれません。ですが、私自身がそうだったように、症状が良くなった後も不眠だけが居座ってしまうケースは少なくありません。
そのような場合、ここにご紹介する方法やツールが役立つはずです。

質の良い睡眠に必要な身体的要素

メラトニンの分子構造と、眠る人のシルエット

栄養 — トリプトファンとセロトニン、メラトニンの関係

メラトニンが眠りを促すホルモンであることは、すでにご存知かもしれません。海外では、時差ボケ対策としてサプリメントも販売されていたりしますが、このメラトニンがどのように生成されるかご存知ですか?

まず、食事から摂取した必須アミノ酸「トリプトファン」が、日中の光を浴びることで「セロトニン」に変わります。セロトニンは幸せホルモンとしても知られていますね。そして夜が近づくと、このセロトニンを材料にメラトニンが作られ、眠気を導きます。

そしてトリプトファン→セロトニン→メラトニンと書くとシンプルに見えるかもしれませんが、このプロセスが成り立つためには、数多くの、ビタミンやミネラル、補酵素が必要なだけ十分揃って初めて成り立ちます。もちろん、これは体内で起きるプロセスの全てに見えることでもあります。

だからこそ、必要十分な栄養素を摂取することがとても重要なのです。

メラトニンの分子構造と、眠る人のシルエット

体内時計 — 朝の光がすべての始まり

私たちの脳には、視交叉上核(しこうさじょうかく)と呼ばれる場所に「体内時計」があります。この時計は、本来24時間よりも少しだけ長い周期を持っています。そのため、毎日リセットしてあげないと、少しずつ生活リズムとずれていってしまいます。

このリセットの鍵を握っているのが、朝の光です。朝、光を浴びると、体内時計がリセットされ、同時にメラトニンの分泌が止まります。そして、そこから14〜16時間ほど経つと、体内時計からの指令で再びメラトニンが分泌され始め、自然な眠気が訪れるのです。
つまり、朝に光を浴びる時間が、その日の夜に眠くなる時間を決めていると言えます。

慢性的な不眠を患っていると、明け方になってから眠りに落ちることも多いかと思います。やっと眠れたからと眠れる時に眠っておきたいと思うのが自然ではあるのですが、本来の睡眠を取り戻すためには、この体内時計のリセットが非常に重要になります。

ブルーライトとメラトニンの関係

先ほどお伝えした通り、朝の光は体内時計をリセットし、メラトニンの分泌を止める働きがあります。
そして14〜16時間後には、またメラトニンが分泌されるわけですが、実は、せっかくのメラトニンの分泌が抑えられてしまうことがあります。

それが、最近話題にもなっているブルーライトです。スマートフォンやパソコン、LED照明などから発せられる「ブルーライト」は、波長が短く、比較的エネルギーの高い光です。夜間にこのブルーライトを浴びると、脳が「まだ昼間だ」と錯覚してしまい、メラトニンの分泌が抑えられ、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまいます。

深部体温 — 体温の変化が眠気を作る

メラトニンの分泌が高まると、体の内部の温度(深部体温)が下がり始めます。この体温の低下こそが、眠気の正体です。

就寝の1〜2時間前に入浴をすると、一時的に深部体温が上がります。そしてその後、体温が下がっていく過程で、寝つきやすくなることが知られています。

熟睡のためにできること

彩り豊かな野菜と穀物が盛られたボウル

必要な栄養素を摂り入れる

先ほどお伝えした通り、メラトニンの材料となるトリプトファンは、乳製品、大豆製品、卵、魚介類、バナナなどに多く含まれています。

ここで注意点が一点あります。「寝る前にタンパク質を摂るとよい」という話を聞いたことがおありかもしれませんが、これは逆効果になりかねません。

というのも、トリプトファンがセロトニンを経てメラトニンに変わるまでには、14〜16時間ほどかかるからです。つまり、その日の夜によく眠るためには、寝る前ではなく、朝のうちにトリプトファンを摂っておく必要があるのです。

さらに、タンパク質は三大栄養素の中でも、消化に最も多くのエネルギーを必要とする栄養素です。寝る前にタンパク質を摂ると、体がまさに休もうとしているタイミングで、消化のために活発に働かなければならなくなります。就寝時刻の3時間以内は、消化に負担のかかる食事は控えるのが望ましいとされているのはそのためです。

私自身、非常に高品質なアミノ酸サプリメントを初めて摂った夜、久々にスムーズに寝付くことができ、かつ睡眠の質が改善したことに驚いたことがあります。条件がそろえば、顕著な違いを感じることができるということを実感した経験でした。

睡眠ルーティンを作る

  • 毎晩のルーティンを作るということは、体だけでなく、潜在意識にも「そろそろ眠る時間だ」という合図を送ることになります。歯を磨く、洗顔をする、パジャマに着替える、ハーブティーを飲む——内容は何でも構いません。大切なのは、習慣にするということです。
  • 就寝前の30分から1時間は、デジタル機器から離れる時間を作りましょう。スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、メラトニンの分泌を妨げてしまいます。その代わりに、軽いストレッチ、瞑想、呼吸法、読書、穏やかな音楽を聴くなど、心と体を落ち着かせる時間を持ちましょう。照明を少し落とすのもリラックスに役立ちます。
  • また、「ベッド=眠る場所」という結びつきを保つことも大切です。布団に入って15〜20分ほど経っても眠れない場合や、夜中に目が覚めてなかなか寝つけない場合は、無理に横になり続けず、一度ベッドを離れましょう。別の部屋で、読書やストレッチなど、退屈で刺激の少ない行動をして過ごし、眠気を感じたら再びベッドに戻ります。この間、スマートフォンの使用や、仕事、支払いの管理などは避けましょう。

熟睡環境を整える(目安)

  • 室温: 一般的に、快適に眠れる室温は18〜20℃前後とされています(夏はやや高めの26〜28℃)。暑すぎても寒すぎても、深部体温の自然な低下が妨げられ、睡眠の質が下がってしまいます。
  • 湿度: 40〜60%程度に保つのが理想的です。乾燥しすぎると喉や粘膜に負担がかかり、逆に高すぎると寝苦しさの原因になります。
  • 寝具: 自分に合ったマットレスや枕を選びましょう。仰向けで寝る方は膝の下に、横向きで寝る方は膝の間にクッションを挟むと、体への負担が軽減されることもあります。
  • 暗さ: 部屋はできるだけ暗く保ちましょう。
  • 静けさ: 静かな環境を心がけ、必要であれば耳栓やホワイトノイズを活用しましょう。
  • 香り: ラベンダーなど、リラックス効果があるとされる香りも一つの選択肢です。本格的なディフューザーなどでなくても、1、2滴ティッシュに垂らして、小皿に置くだけでも大丈夫です。

併せて使えるツール

ここまでご紹介してきた知識や習慣に加えて、利用できるツールをいくつかご紹介します。

三日月の上に立ち、星空を見上げる女性のイラスト

聞くだけで眠りにつける音声コンテンツ

イメージ誘導、漸進的筋弛緩法、穏やかな音楽など、音声を使って自然な眠りへと誘導する方法もあります。眠りにつくためのチャンネルやアプリもありますので、それらを活用するのも良いでしょう。

また、自分自身の経験を活かして、「夢のとびら」というポッドキャストを、この目的のために始めました。私は、音楽や漸進的筋弛緩法より、ストーリーを聞くことでよりスムースに眠りに入ることができます。集中して聴くほどではないけれど、展開が気になるストーリーを聞くことで、ぐるぐる巡っていた思考がいつの間にか静まっていくのです。

ポッドキャストの場合は、エピソードをダウンロードすることで、機内モードにしていても聴くことができますので、電磁波が気になる方にもおすすめです。また、ポッドキャストのアプリによっては、「スリープタイマー」機能があり、エピソードが終わったタイミングで自動的に再生を止めることもできます。

三日月の上に立ち、星空を見上げる女性のイラスト
夢のとびら」ロゴ

眠れない夜のための、オリジナルストーリー・ポッドキャスト。瞑想でも、音楽でもありません。不思議な世界のちょっと不思議な物語が、自然と穏やかな眠りへといざないます。

睡眠トラッカー

ウェアラブルデバイスやアプリで、ご自身の睡眠の質をチェックするのもおすすめです。

私自身はオーラリングを愛用しているのですが、睡眠計測の質が非常に高いと言われています。
睡眠時間のみならず、深い睡眠の割合や、心拍数、体温の変化などをベースに睡眠の質を記録でき、またストレスのレベルや睡眠との関係性も見てとることができるのが気に入っています。

自分の睡眠を客観的に把握することで、どの習慣が効果的だったのか、逆に何が睡眠を妨げているのかも見えてきますよ。

ヒプノセラピー

ヒプノセラピーは、潜在意識に直接アプローチできる療法です。

実は、眠りに落ちる直前、人は誰しも催眠状態に近い状態を通ります。意識があるようなないような、うとうととした状態です。この状態では、顕在意識——つまり思考——が静まり、代わりに潜在意識が前面に出てきます。潜在意識には、直感や本能、そしてこれまでの経験から作られたパターンが保存されています。

つまり、眠りにつくためには、この「思考が静まった状態」に入る必要があるのです。考え事が止まらない方や、頭が冴えてしまう夜が多い方ほど、この移行がうまくいかず、眠りに入りにくくなります。

ヒプノセラピーでは、この潜在意識に働きかけることで、「ベッド=目が冴える場所」「ベッド=考え事をする場所」といった、無意識に染み付いたパターンを書き換えていくことができます。

また、ヒプノセラピーのもう一つの利点は、一人ひとりの状況や習慣に合わせてカスタマイズできることです。このページでご紹介してきた要素を一つずつ確認しながら、実際に無理なく続けられる睡眠習慣や、その方に合った入眠儀式を、セッションの中で一緒に作っていくことができます。

上部へスクロール