効率よく効果を出せるヒプノセラピーですが、じゃあ、セッションを受けたらあとは何もしなくても効果が出るの?そんな疑問にお答えします。
このエピソードのポイント
- ヒプノセラピーは協働作業(コラボワーク)
- セラピストの役割
- ご自身の役割
- 補強と実践
- ヒプノを使わずに潜在意識にアプローチするコツ
スクリプト
ご自身の言動の最終決定権を完全に握っている潜在意識。自分の意識、顕在意識で考えたり判断していると思っているけど、実はその顕在意識は潜在意識の掌の上で転がされているようなものというお話を前回しました。
なので、いくら自分が「人前で堂々と実力を発揮できるようになりたい」と強く思っていても、それはあくまでも顕在意識の話で、潜在意識が「いやいや、それは危険すぎるよ」と思っていたら、どれだけ強く願おうとも実現はしないという話ですよね。
じゃあどうしたらその潜在意識の内容を変えられるのか?という点で、誰でも簡単にできる方法として反復、繰り返す、言い換えれば練習すれば良いというお話を、イメージ療法などの例を挙げてご紹介しました。
で、ヒプノ、催眠を使うと早いよ、効率的に効果的に結果を出せるよというお話を、他の療法との比較とも交えてさせていただきましたが、じゃあ、ヒプノを使ったら反復は必要ないの?という疑問がもしかしたら浮かんだかもしれません。
今日はこの点についてお伝えしたいと思います。最後に、ヒプノを使わずにご自身で潜在意識にアプローチする際のコツもお伝えしますので、お楽しみに。
ぶっちゃけ、ヒプノは魔法の杖ではありません。セッションを受けたら「あら不思議。翌日から人前に立つことが平気になった」というわけにはいかないことが多いです。多い・・・というのは、実際1回のセッションで問題が解決してしまうこともあるんです。が、確率的には高くはありません。というのも、ほとんどの場合、恐怖や不安が長い間蓄積し、補強されちゃっているからなんですね。とはいえ、前回もお伝えしたように、他の療法と比べてもヒプノでは圧倒的に早く効果が出ることも事実ですが。
ヒプノセラピーは協働作業です。ポッドキャストだとね、漢字が見えないですけどね、いわゆるコラボワーク?ですね。どういうことかというと、セラピストが潜在意識担当で、ご自身が顕在意識担当。
はぁ?ってなりますよね。あがり症の例をとって説明しましょう。
ここで早速、ご自身の想像力を使ってみてください。ご自身の潜在意識の中に鬱蒼とした森があるとして、この鬱蒼とした森が、ご自身が持っているジレンマ、悩みを象徴していると思ってください。あがり症の例であれば、この鬱蒼とした森が「人前に出るのは怖い、失敗したら大変、批判されるのが怖い」などの現状を象徴しているとします。このいかにもどんよりとした不安とか恐怖の森を変えたいわけですよね。
ヒプノセラピーではセラピストが潜在意識担当と言いました。なので、この鬱蒼とした森の中に、セッションで苗を植えます。鬱蒼とした森の中に植えられる苗を想像してみてくださいね。この苗はご自身が願っている内容を象徴しています。なので、あがり症の例なら「自分の知識をたくさんの人と共有できるのってワクワクする、皆さんのお役に立てる、楽しい」とか。
ここでちょっと話がそれますが、催眠状態を活用しない場合は、この苗を植えること自体にすっごく時間がかかるということです。フィルターを突破して植えなければならないわけですけど、その突破するのに時間がかかる、反復が必要とお話ししましたよね。
で、ヒプノでは催眠状態に入っている間、つまりフィルターが開いている間にこの苗を植えることができるわけですけど、さて、さらに想像してみてくださいね。
鬱蒼と生い茂る森の中に植えられた苗、何もしなかったら、苗の世話をしなかったらどうなると思いますか?日も当たらず、水も栄養分も周りに生い茂る大きな草木たちに取られ・・・大きく育つのは至難の業・・・
同じことで、せっかく催眠状態で、ご自身が望んでいる内容、あがり症の例なら「自分の知識をたくさんの人と共有できるのってワクワクする、皆さんのお役に立てる、楽しい」というパターン、紐付けを潜在意識に落としても、セッション後の日々の生活の中で何もしなければ、この新しいパターン、紐付けはどんどん薄れて、1週間程度で消えてしまいます。
逆に、この小さな苗をせっせとお世話したらどうでしょう?周りの草などを取り払って、日があたるようにして、せっせとお水をあげて・・・その苗が大きく育つ確率が格段と上がりますよね。
これが先ほどお伝えした、ご自身が顕在意識担当ですよというところです。
ヒプノセラピーのセッションでも、セッション後の日々の生活の中で、潜在意識に落とした新しい紐付け、パターン、ご自身が願っている内容を補強していくということがとても重要になってきます。ご自身の願っている内容のこの苗がどんどん大きくなっていけばいくほど、鬱蒼としていた森はどんどん小さくなっていきます。
じゃあ、どうやって補強していくの?っていう話ですが、いくつかの方法がありますので、それらをご紹介していきますね。
まずはMP3の活用です。これはヒプノセラピーを受ける場所によって異なると思いますが、私の場合は、セッションの後半、つまり実際に催眠に入っていただく部分ですね。この部分 は基本的に録音しています。活用するツールに内容によって、録音しないこともありますが、基本的にはいつも録音しています。そして、セッション後にMP3ファイルの形でお送りしています。
このMP3を聞いていただくというのがまず補強の一つになります。目安として最初の1週間程度は毎日聴いていただけると良いかなと思います。セッションの内容をそのまま録音してありますから、聞くたびにセッションを受けているのと同じ・・・ではないですけど、ま、近いですよね。
ですがこれだけではちょっと不十分。というのも、わたしたちって、実行に移して初めて体得しますよね。例えば、新しい機器・・・家電でもなんでも良いんですけど、使い慣れていない新しい製品を買ったとして、一度取説を読んだだけで1週間後に、使い方を正確に覚えていると思いますか?もちろんね、スタートボタンを押せばいいだけみたいな商品ならできるでしょうけどね。
普通は、実際に自分でやってみて、試してみて、初めて体得すると思います。行った事がない場所に地図頼りに行く場合。もちろん、今ではナビというとっても便利なアプリがありますけど、最初に一度見ただけで、迷わず行けますか?ぶっちゃけ私は無理です。ナビでさえ、常に自分の現在位置と、進む方向を確認しながらいく人ですから・・・
でも、一旦その場所にたどり着けば、次回以降は結構問題なく地図を見なくても行けることが多いです。人って、行動することで初めて体得できるんですよね。なので、MP3を聞いて補強するのもとても良いのですが、やっぱり最終的に止めを刺すじゃないですけど、しっかり定着させるためにはアクションが必要なんですよね。
ただ、既にもう苗は潜在意識に植えちゃっているので、フィルターを通して潜在意識に落とすことから始めるよりは断然近道。短期間で効果が出るわけです。このアクション、実践の部分についてもう少し説明を加えると、解決したいお悩み、内容によっては、小さなステップから始めていきましょう。
これは以前のエピソードでもちょっとお伝えはしたんですが、あまり抵抗を感じない、ちょっとだけ頑張ればできそうなレベルから実践していくということです。例えばあがり症の例なら、最初は友人の前で発表してみるとか、友人でも緊張するなら家族の前で発表してみるとか。「このくらいならできそう」と感じるレベルで実践してみる。そして小さな成功体験を積み上げていくということです。これがとても大切。小さな成功体験を積み上げていくことで、それが自信にもつながり、またより大きなアクションにチャレンジできるようになっていって、徐々にもともとあった恐怖や不安というのが薄れていきます。
恐怖症じゃなくても同じようなアプローチができます。例えば試験に合格するために1日2時間は勉強する習慣をつけたいみたいなときに、最初から2時間を実践するのは結構ハードルが高いって言う場合もあると思うんですが、最初の週は30分とか、自分で「このくらいなら確実にできそう」というレベルから始めたり。
この実践については、催眠を使わずにご自身の潜在意識にアプローチするときにも当てはまります。どういうことかというと、例えばこの試験に合格するために1日に2時間勉強する習慣をつけたいという場合。ご自身で、毎晩アファメーションとイメージ療法を行うとしましょう。
この場合は、夜、眠りにつく前、つまり催眠状態を通る前っていうことですよね、にアファメーションを書く。それと同時にイメージ療法もやる。イメージ療法というとちょっとお堅く聞こえますけど、要は想像すればいいんです。この場合なら「試験に合格した自分」をイメージしても良いですし、「毎日しっかり2時間以上勉強している」自分でも良いと思います。これは実際には、suggestibilityと言ってご自身がどういうふうに情報を受け止めるかというタイプがあって、タイプごとに「こういう表現の方がより効果的ですよ」っていうのがあるんですが、それはまた別の機会にお話しするとして、どちらかご自身にしっくりくる、想像しやすい方法を選んでいただければい良いかなと思います。
このアファメーション、イメージ療法はおそらくせいぜい5分程度しかかからないと思います。これを眠る前に毎日やるとして・・・プラス実践が必要になってくるわけですよね。例えばアスリートがイメージ療法を活用する場合でも、イメージして終わり・・・のはずがないですよね。その後に練習するわけです。なので、毎晩アファメーションとイメージ療法をして、日中は実践をする。この例であれば、先ほどお伝えしたように30分から始めるとか、15分から始めるとか、小さく始めていけば良いわけです。
効率よく効果を出せるヒプノセラピー。ご自身の望んでいる内容を潜在意識に落とすための反復、繰り返しは必要ないですが、いざ潜在意識に落とした後、その内容を大きく育てて、定着させるための補強、実践は大切だと言うこと、そして、この実践は、「ちょっとだけ勇気を出せばできそう、このぐらいだったら頑張れる」と言うところから、小さなステップから始めればよいと言うお話でした。ではまた、次回お会いしましょう。